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我が家のポメラニアンが脊髄空洞症と診断されたとき、最初に思ったのは「脊髄空洞症ってなに?」でした。
聞き慣れない病名で、調べてもむずかしい言葉ばかり。
キアリ様奇形、脳脊髄液、神経痛、減圧術……と読んでいるうちに、正直かなり不安になりました。
この記事では、私が調べたことや病院で説明してもらったことをもとに、犬の脊髄空洞症がどんな病気なのかを、飼い主目線でできるだけわかりやすくまとめます。
犬の脊髄空洞症とはどんな病気?
脊髄空洞症は、脊髄の中に液体がたまった「空洞」ができる病気です。
脊髄は、背骨の中を通っている神経の束。脳から体へ、体から脳へ情報を伝える大切な通り道のようなものです。

その脊髄の中に空洞ができると、神経が圧迫されたり刺激されたりして、痛み・違和感・ふらつき・麻痺などの症状が出ることがあります。
ただし、MRIで空洞が見つかったからといって、必ず強い症状が出るとは限りません。
画像上の変化と、実際の症状の重さが一致しないこともあります。
そのため、診断ではMRI画像だけでなく、ふだんの様子、痛みの出方、歩き方、神経学的検査などをあわせて判断されます。
原因と関係しやすい犬種
脊髄空洞症は、遺伝的な要因や、頭・首まわりの骨の構造などが影響して発症することがあります。
ここでは、よく一緒に説明されるキアリ様奇形との関係と、比較的注意したい犬種についてまとめます。
キアリ様奇形との関係
犬の脊髄空洞症では、キアリ様奇形と呼ばれる頭と首の境目の形の異常が関係していることがあります。
キアリ様奇形では、頭蓋骨の後ろ側のスペースが狭かったり、脳の一部が圧迫されたりすることで、脳や脊髄のまわりを流れる脳脊髄液の流れが乱れると考えられています。
その結果、脊髄の中に液体がたまり、空洞ができることがあります。

少しややこしいのですが、脊髄空洞症は「脊髄の中に空洞ができる病態(結果)」であり、キアリ様奇形はその原因となる「骨の形状の異常(背景)」という関係性です。
また、脊髄空洞症はキアリ様奇形だけで起こるわけではありません。
腫瘍、炎症、外傷、水頭症など、ほかの原因が関係することもあります。
なりやすい犬種
脊髄空洞症やキアリ様奇形は、小型犬・トイ犬種で見られることがあります。
とくによく知られているのは、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルです。
そのほか、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、マルチーズ、トイプードルなどでも報告があります。
小型犬だから必ずなる、という病気ではありません。
ただ、首まわりの痛みや不自然な掻き方が続く場合は、こういう病気もあると知っておくだけでも、受診時に相談しやすくなると思います。
脊髄空洞症で見られる症状
脊髄空洞症の症状は、痛みとして出ることもあれば、掻くような仕草や歩き方の変化として出ることもあります。
ただ、ほかの病気と似て見えることも多いので、「この症状なら必ず脊髄空洞症」とは言い切れません。
代表的なサイン
脊髄空洞症の症状は、犬によってかなり差が出ます。
ほとんど症状が目立たない子もいれば、痛みが強く出る子、歩き方に変化が出る子もいます。
代表的な症状としては、次のようなものがあります。
| 症状や仕草 | 具体的な様子(サイン) |
| 首や背中を痛がる | 頭を下げたまま動かない、上を向きたがらない |
| 急に「キャン」と鳴く | 触っていないときや、抱き上げたときに鳴く |
| 掻くような仕草をする | 耳や首のあたりを掻こうとする、足が体に届かないことがある |
| 体を触られるのを嫌がる | 以前は平気だった場所を触ると逃げる |
| 歩き方がふらつく | 足がもつれる、段差やジャンプを嫌がる |
こうして並べると怖く感じますが、ひとつ当てはまっただけで脊髄空洞症だと決まるわけではありません。
大事なのは、「いつもと違う様子が続いているか」「痛がる場面が増えていないか」を見ておくことだと思います。

うちも最初は、首を少し痛めただけなのかな、というくらいの感覚でした。
スクラッチングと皮膚病との違い
特徴的な症状としてよく挙げられるのが、スクラッチングです。
首や耳のあたりを後ろ足で掻こうとするのですが、実際には足が体に触れていないこともあります。これがいわゆる空掻きです。
ただ、スクラッチングがあるから必ず脊髄空洞症というわけではありません。皮膚病、耳の病気、アレルギー、関節や首の痛みなどでも、似たような行動が出ることがあります。
逆に、皮膚の治療をしてもなかなか改善しないと思っていたら、実は神経の痛みや違和感が関係していた、というケースもあります。

このあたりが、とても判断しにくいところです。
うちの子の場合
うちの場合も、最初から「脊髄空洞症かも」と思っていたわけではありません。
首を痛がるような様子や、ふとした動きのあとに「キャン」と鳴くことが多く「首をひねったのかな」「足を痛めたのかな」と考える程度でした。
ずっと痛そうにしているわけではなく、普段通りに過ごしていることも多かったと思います。
しかし、痛がる理由がはっきりしない状態が続いたため、最終的にMRI検査を受けることになり、脊髄空洞症と診断を受けることになりました。
実際の診断までの流れは、こちらの記事に詳しくまとめています。
脊髄空洞症の診断:MRI検査が重要
脊髄空洞症は、見た目の症状だけで判断するのが難しい病気です。
レントゲンでは骨の状態は確認しやすいですが、脊髄の中の空洞や神経まわりの状態までは詳しく見ることができません。
そのため、脊髄の中に空洞があるかどうかを正確に確認するには、MRI検査が重要になります。
かかりつけの動物病院で診察や神経学的検査を受けたあと、必要に応じてMRI設備のある二次診療施設や専門病院を紹介されることがあります。
MRI検査では全身麻酔が必要になることが多く、費用も高額になりやすいです。

私自身も、麻酔と費用面への不安はかなりありました。
それでも、痛みの原因を探るためには、MRI検査が大きな手がかりになることがあります。
脊髄空洞症の治療:内科治療と外科治療
脊髄空洞症の治療は、症状の強さ、進行の程度、年齢、持病、麻酔リスクなどを見ながら決められます。
大きく分けると、薬で症状を管理する内科治療と、手術を検討する外科治療があります。
内科治療
痛みや違和感を抑えながら生活の質を保つために、薬で管理する方法です。
使われることがある薬には、次のようなものがあります。
| 薬の種類 | 目的 |
| 神経性疼痛薬 | 神経の痛みや違和感を和らげる |
| 鎮痛薬・消炎薬 | 痛みや炎症を抑える |
| 脳脊髄液の産生を抑える薬 | 脳脊髄液の量を減らし、脊髄にかかる圧力を下げる |
| ステロイド剤 | 炎症や腫れを抑える目的で使われることがある |
どの薬を使うかは、犬の状態や病院の判断によって変わります。
薬が合えば、症状が落ち着いて日常生活を送れる子もいます。
一方で、薬で空洞そのものが完全になくなるわけではないため、長期的な管理が必要になることも少なくありません。
自己判断で薬を増やしたり、急にやめたりするのは危険です。
必ず獣医師の指示に従ってください。
外科治療
痛みが強い場合、薬でコントロールしきれない場合、麻痺などの神経症状が進行している場合には、外科治療が検討されることがあります。
キアリ様奇形が関係している場合、後頭部の骨を一部広げて脳脊髄液の流れを改善する手術が行われる場合もあるそうです。
ただし、手術には麻酔や合併症のリスクがあるため、症状や年齢、体の状態を見ながら慎重に検討されます。
主治医や神経科の専門医とよく相談し、メリットとリスクを理解したうえで判断することが大切です。
家でできること・相談するときの準備
診断後の生活では、首や背中への負担をできるだけ減らしつつ、症状の変化に気づけるようにしておくことが大切だと感じました。
家でできる工夫と、病院で相談するときに役立つ準備をまとめます。
日常生活で気をつけたいこと
診断後は、日常生活の中で首や背中への負担を減らす工夫が大切になります。
| 場面 | 気をつけたいこと |
| 散歩 | 首輪よりハーネスを使う |
| 段差 | ソファやベッドからのジャンプを減らす |
| 階段 | スロープやステップを使う |
| 抱っこ | 首や背中が反らないように体全体を支える |
| 触り方 | 痛がる場所を無理に触ったり、マッサージしたりしない |
全部を一気に変えようとすると大変なので、まずは首に負担がかかりやすい場面をひとつずつ減らしていくくらいでもいいと思います。

トリミングサロンへ通うために、主治医に注意点を聞いたところ「仰向けは絶対にダメ」ということも教えていただきました。また、ハーネスを無理やり引っ張るような施術をするトリミングサロンは注意が必要です。
病院で相談するための「メモ」と「動画」
犬は病院に行くと、緊張や興奮から、家では痛がっていたのに診察室では全く痛がらない(平気そうにしている)ことがよくあります。
そのため、日頃からメモと動画で自宅での様子を記録しておくことが、診察時にとても役立ちます。
メモしておきたい内容
- いつ(朝起きたとき、散歩の後、など)
- どんな動きをしたときに(抱っこしたとき、ジャンプしたとき、など)
- どのくらい痛がったか(キャンと一度鳴いた、しばらく首をすくめて動かなかった、など)
スマホで残しておきたい動画
気になる動きがあるときは、スマホで短い動画を撮っておくと先生に見せやすくなります。
| 残しておきたい動画 | 伝えやすくなること |
| 空掻きの様子 | 掻き方、足が届いているか、左右差 |
| 歩き方 | ふらつき、足のもつれ、段差での様子 |
| 抱き上げたときの反応 | どの姿勢で痛がるか |
| 痛がった直後の姿勢 | 首の向き、体のこわばり、動きたがらない様子 |

これらがすべて脊髄空洞症のサインとは限りません。
でも、痛みや神経の症状は、早めに原因を探した方がよいことがあります。「少し様子を見よう」で長引かせるより、まずはかかりつけの先生に相談してみるのが安心です。

うちの子も病院で症状を確認することができませんでした。病院が苦手すぎて震えが止まらなくなり、緊張のしすぎか痛みを忘れている…というより、それどころじゃなかったのかもしれません(笑)
まとめ
犬の脊髄空洞症は、名前だけ聞くととても難しく感じる病気です。
私も最初は、何をどう理解すればいいのかわかりませんでした。
ただ、脊髄の中に空洞ができる病気であること、キアリ様奇形が関係することがあること、痛みや違和感として出ることがあることを知ってから、少しだけ整理して考えられるようになりました。
もし愛犬に気になる様子があるなら、不安をひとりで抱えず、早めに動物病院で相談してみてください。


